次の週のバイトで、一番に店長に佐伯さんの事を聞いた。
「佐伯さん、どうなりました?」
佐伯さんの話題に、店長が顔色を変える。
「いや、あれから家にも連絡ないらしいし……」
佐伯さんの事を心配してるのは明らかなのに、それを隠していつも笑顔でいる店長が、なんだか見ていて痛々しくて……顔をしかめる。
店長の心配の仕方は、ただの親戚という関係を超えているように見えた。
でも……佐伯さんは色々な人と付き合ってたけど、店長が口を出した事はなかったし。
ただの親心……?
引き取ったからその責任を感じてなのかな。
「美沙は……あの事件以降、水谷に異様に執着してたから……。
もしかしたら……、水谷に会いにくる気がするんだ」
少し苦笑いしながら言う店長に……、黙って頷いた。
……佐伯さんの中で続いてるあの事件は、どうすれば終わる……?
あたしに……、何かできるの?
でも……あたしに執着してる限りは、きっと抜け出せない。
『佐伯さんは何も悪くない』
もうそんな言葉では救えない気がした。
佐伯さんは、何を望んでるんだろう……。



