イジワルな恋人



翌日の放課後、あたしは亮の家を訪れていた。

亮がわざと薄くつけたキスマークは、2日しか経っていないのに消えそうだったから。


ドアをノックして、亮の部屋に入る。

慣れなかった亮の部屋も、少し落ち着くようになったことに気付く。


「なんだよ。もう会いたくなった?」


意地悪に笑う亮に、軽く膨れて見せる。


「……キスマーク。わざと薄くつけたんでしょ?」


あたしの言葉に、亮は口許を緩ませて笑うだけだった。


「ねぇ、ちゃんと勉強してる? 試験来月だよ?」


余裕そうにソファーに座っている亮に言う。

高級そうなオーディオからは、知らない洋楽が流れていた。


「ああ、大丈夫だろ。夜あんま寝てねぇし……。そこまで難しい試験でもねぇし。多分受かる」


……どこから湧き上がる自信なんだろ。

呆れながら隣に座って、亮の横顔に離しかける。


「……亮、佐伯さんの事なんだけどね、」

「また何かされたのか?!」