イジワルな恋人



しばらくケータイをぼんやり見つめて、不在着信がある事に気づく。

着歴を開くと、そこには亮の名前が並んでいた。


19時47分

20時13分

20時29分

20時47分


着暦だけでも、心配してくれてたのがわかる。


……あたしが部屋を飛び出したりしたから心配したんだね。


……変なの。

数時間前まではあんなに幸せだったのに。

お昼休みにはキスをして、キスマークをつけあって。


……でも、そんなの嘘みたい。


「……っ、」


膨れ上がってくる感情が、涙を誘い出そうとする。


浮かびそうな涙を、手をぎゅっと握り締めて必死に堪えた。


亮……、

あたしに言えない事って、なに?


佐伯さんとキスする約束って……、

なに……?


なんで、隠すの?



立ち止まっていられなくて……重い足を無理矢理進めた。


このまま立ち止まっていたら、動けなくなってしまう気がして……。