イジワルな恋人



「……亮、佐伯さんとキスする約束した?」


少しの沈黙が流れた。


自分の部屋にいるのか、テレビの音が微かにケータイ越しに聞こえてくる。

頭のどこかに冷静な自分がいて、亮が見る番組ってどんなんだろうなんて思っていた。


亮、お願い……。


「してねぇよ」って、笑い飛ばして……っ。


「佐伯が勝手に言ってんだろ?」って、気にしてるあたしを笑って……。




『……佐伯に聞いたのか?』

「……っ」


亮の返事に、ドクンと大きく心臓が跳ねる。


なんで……? 

……本当なの?


『……約束じゃねぇけど』


じゃあ、何……?


なかなか声がでなかった。


亮の言ってる事もよくわからない。


……でも。

亮から返ってきた言葉が、あたしの欲しかった答えじゃなかったのは、確かだった。