イジワルな恋人



「おい」


急に呼ばれて、身体をすくませる。

気がつくと、目の前で、亮が香水を差し出しながらあたしを見ていた。


「あ、ありがと……」


なるべく亮の指に触らないように香水を受け取る。


「なんでそんな離れてんの?」

「……別に普通だよ?」


あたしが裏返った声で返事するのを、亮は笑いながら聞いて、「……ふぅん?」と片眉を上げた。


意地悪な顔をした亮と、目が合った次の瞬間……。


あたしの前には、白い天井と、意地悪に笑う亮の顔があった。


「ちょっと……亮?!」


いきなりの展開に、動揺して目が泳ぐ。

あたしの身体を押さえ込んだ亮は、ゆっくりとした動作で、あたしの首元に顔をうずめた。


「やっ……あ、…」


首筋にキスを落としながら、ブラウスのボタンを外していく。


「あっ、亮! ちょっと待って!」

「ん?」


優しい声で返事はしてくれるけど、この行為を中断するつもりはないみたいで……。

止まらない亮の手を、あたしは自分の手で握って止める。