【亮SIDE】
完全に脱力した奈緒に視線を向けながら、時計を指差す。
「時間、いいのか?」
「……え? 時間?」
頬を赤らめてぼんやりしていた奈緒が時計に目を移す。
そして時間を確認した途端に、驚いた表情を浮かべた。
「50分?! もう休憩時間終わり?!」
「……残念?」
からかうように聞くと、奈緒は怒りながら俺を責める。
「亮がこんなところで、あんなっ……へ、変な事するから!」
そう言いながら背中を向けて、外されたボタンを慌てて閉める奈緒に笑みがこぼれる。
「嫌じゃないって言ったくせに」
「……~~っ、亮の意地悪!」
顔を真っ赤にした奈緒は、従業員室のドアを勢いよく閉めた。
パタパタとした足音がだんだん小さくなる。
その音を聞きながら、立ち上がった。



