イジワルな恋人



頭の上で、亮がため息と一緒に言葉を落とす。


「……やっと捕まえた」


そう言った亮の腕に力がこもる。


抱き締める腕の強さが、

亮の気持ちを、『好きだ』って気持ちを伝えてくれてるような気がして。

あたしも力いっぱい抱きついた。


「……いてぇよ」


上から降ってくる声に、胸がどこまでも締め付けられる。


……なんかもう、どうしょうもないくらい好きって気持ちが溢れてきて、どうしたらいいのか分からない。



『大好き』

心の中で、何度も何度もその言葉を繰り返した。


しばらくして、亮が腕を緩める。

どんな顔をすればいいのかわからなくて、うつむいたままいると、亮が頭を撫でた


「……中澤じゃなくていいの?」

「……」


亮が意地悪な事を言いながら口の端を上げて笑うから、あたしもムッとして口を尖らせた。


「亮こそ……山本さんと仲良くしてたじゃん。山本さん、絶対亮の事好きだよ」


まだうつむいたまま、不貞腐れて言うと、亮は「やきもち?」なんて、余裕にからかってくる。

顔をあげて、亮を少し睨んだ。