イジワルな恋人



「……んっ」


突然の奪うような力ずくのキスに……、驚いたけど、抵抗はしなかった。


「…っ、…ふ、……、」


目を閉じて、必死に亮を受け入れる。

以前した、二回のキスとは違うキスだったけど、怖いとは思わなかった。


しばらくして、亮の唇が離れる……。


「……おまえ、なんで抵抗しねぇんだよ」


今日、初めて合った亮の目が、とても悲しそうだった。


「……頼むから、早く俺の女になってくれよ……っ。

じゃなきゃ、他の男にとられないか、不安で仕方ねぇ……」


おでこがくっつきそうなほどの至近距離で聞いた、亮のつらそうに詰まらせた声に……、

あたしはいつの間にか、亮を抱き締めていた。


「……ごめんね、亮……っ」


……ごめんね。

こんなに想っててくれた亮の気持ち……。疑ったりしてごめん。

そんな悲しい顔させて、ごめんね……。


あたしは、どこまで臆病なんだろう。

自分の気持ちばかり大切にしてた。

傷つきたくなくて、そればっかり……。



こんなに悲しい目を見るまで、亮の気持ちを信じなかった。

疑ってた。


亮はあたしに、『好き』って言ってくれたのに……。


たくさん態度で表してくれてたのに……。

それに答えもしないで、亮の気持ちを疑って、告白することに怖じ気づいてた。