……考えてみると、中澤に会ったあたりからあいつの態度がおかしいんだよな。
今まで頑なに言わなかった家族の話をしたり、自分から抱きついてきたり……、何回も目を逸らしたり。
あいつ……、奈緒は、もしかしたらまだ中澤が好きなんかな……。
だから、俺から目を逸らすのか?
俺の気持ちに応えられないから……?
考え出すと、今までの奈緒の不可解な行動のすべてがそう言っているような気がしてきて……。
そんな考えを振り切るように、机に突っ伏した。
自然と苛立ちが襲ってくるのに、それでも、頭の中から奈緒と中澤、二人の事が離れなくて。
もし、奈緒が中澤を好きだったら―――……。
そんな事ばかりが頭に浮かんで。
頭を独占する思いをかき消すために授業に出た。
よりによって、賀川の授業だったけど、それさえ気にならなかった。



