イジワルな恋人



告白、したかった。

『好き』って……、亮に伝えたかった。


言ったら……、亮は笑ってくれたかな。

優しく笑って、あたしを抱き締めてくれた……?

力強い腕で、抱き締めて、また意地悪なキスをしたりして……。

怒るあたしを、楽しそうに笑う。

だけど、最後は優しく頭を撫でて微笑んでくれて……。


亮の笑った顔が、苦しくなるくらいに胸を締め付ける。


……そうされたかった。

そうされて、笑いあいたかった……。


亮……。


あたし、亮が好き……。

大好きだよ―――……。





『亮が好き―――……』


もう、伝える事ができなくなってしまった言葉を、何度も心の中でつぶやいた。


思わず声に出そうになる気持ちを抑えて……、

何度も何度も繰り返した。




伝えられないとわかった途端、気持ちが溢れて……身体中に巡っていく。


言えないのに……。

今さら気付かされる。




こんなに亮が好きだって……

もう……、遅いのに……。