イジワルな恋人



あたしが話したのは、中澤先輩が三年間責任を感じていた事と、想い続けてくれていた事だけだった。

それなのに、真ちゃんの口から出たのは亮の名前で……。


気持ちを見透かされたみたいで、顔が一気に赤くなる。


「……亮は、別に」

「おまえ見てればわかるよ。……好きなんだろ?」


真ちゃんに直球で聞かれて……あたしは答えられずにうつむいた。


「最初はさ、一緒にいるとこ見て、なんでよりによって桜木なんだかわからなかったし、止めようとも思った。

……あいつ評判悪いしな。

だけど、桜木が本気だって見ててわかったから……何も言う気になれなかった。

まさか、おまえまで本気になるとは思わなかったけどな」


優しく笑う真ちゃんを見て、結んでいた口を開く。

まだ顔は赤いままだったと思う。


「……最初は女ったらしだと思ってたけど……。

強引だし、俺様だし、最低だって思ってたけど……。

でも、本当は優しくて……一緒にいて楽しかったし落ち着いた。

いつでもあたしを見ててくれた……。

いっぱい……、助けてもらった」



真ちゃんは、黙ってあたしの言葉を聞いていた。


あたしが絞り出す気持ちを、聞いていた。