……その場所から動けなかった。


あたし、どうすればいいんだろう……。


先輩の事は、大好きだった。

部活に真剣に取り組む姿に憧れてた。


後輩にも人気があって……勉強も運動もできて、理想の人だった。

面倒見のいいところも、優しいところも好きだった。




……―――だけど。


だけど、今、あたしの心の中にいるのは……

中澤先輩じゃない……。



あたしの心の中にいるのは……、

抱き締めて欲しいって思うのは……、



亮だけ……。


亮しか見えない―――……







ねぇ、亮……。


あたし、どうすればいい……?




どうしたらいいのか、わからないよ―――……。