イジワルな恋人



頭を下げる中澤先輩を、あたしは呆然としたまま見ていた。


……もしかしたら、

中澤先輩の時間もあの日から止まってるの……?



今も、止まったままなの―――……?




「先輩……っ、あの事件は、先輩のせいなんかじゃ……」

「分かってるよ。犯人のせいであって、罰を受けるのも犯人だって事は。

……でも、俺が原因の一つである事には変わらない」

「……先輩。……あたしもずっと自分を責めてきました。

あたしが悪いんだって……ずっと、そう思ってた。


……だけど、亡くなったお母さん達のためにも、残された人が幸せにならなきゃダメだって……。

必死に前を向いて生きなくちゃダメだって……ある人に言われて気付きました。

だから先輩も……」

「ある人って……桜木?」


あたしの言葉を遮った先輩に、先輩の真剣な表情に……あたしは目を逸らしてから、ゆっくり頷いた。


先輩は、「やっぱりな……」って、少し笑って……。


再び真剣な顔をあたしに向けた。