イジワルな恋人



辺りを見回しても女の姿はもう見えなかった。

キャバクラ入り口の看板に目を移すと、人気ナンバー3が大きく並んでる下に、その半分以下のサイズで何人もの女の写真が連なっていた。

そこにあの女の写真は見つけられない。


まぁ、16だしな……。

店側もこんなところに写真なんか貼らねぇか。

一通りの写真に目を通した後、俺は躊躇せずキャバクラのドアを開けた。


時計は16時を回ったばかりだった。

開店前の薄暗い店の中には、掃除をする男の店員がいるだけだった。

俺に気付いた店は胡散臭い営業スマイルを作る。


「お客様、申し訳ありませんが、当店は19時開店になってますので……」

「客じゃねぇよ。……さっき入ってきた高校生の女は? どこだよ」


俺のふてぶてしい態度に、店員も俺の全身を見定めてから態度を豹変させる。


「うちは20才以上しかいないよ。そういう趣味なら他に行けよ」


店員のバカにした態度に、昼間から感じていた苛立ちの線が切れる。

気が付いたときには、勝手に動いた身体が、店員の胸ぐらを掴んで横っ面を思いっきり殴り飛ばしていた。


……あ、やべぇ。