イジワルな恋人



「……やっ」

「……あれ? 奈緒感じてる?」

「……っ」


亮の意地悪な言葉も……痺れた頭には届かない。


「奈緒……」


耳元で自分の名前を呼ばれて、胸が高鳴る。

身体全部が、キュウっと締め付けられる。


……どうしよう。

あたし―――……っ。


「……抵抗しねぇの?」


固まったまま動かないあたしに、亮が意地悪く笑う。

……なんで、抵抗しないの……?

なんで……?


亮のキスが、何度も耳のあたり落ちて、その度に身体が勝手に反応して……。

そんなあたしの様子を、亮は楽しそうに見ていた。


どうしよう……、

あたし、拒めないよ……。


……―――?!


「……あ、亮?! ちょっ…ダメ!!」


ゆっくりと胸に触れた亮の手に、あたしは持っていたペットボトルを落とす。


「なんで? ……でかくしてやるっつったじゃん」


亮の顔はまだあたしのすぐ近くにあって、話すと吐息が耳にかかって、あたしの背中をぞくぞくさせる。