イジワルな恋人



「……なんだぁ」


あたしの中で、張り詰めていた糸がようやく緩む。

安堵の笑みを漏らすと、亮が意地悪な表情を浮かべた。


「……おまえ、なんだと思ったの? “指令”」


亮の言葉に、一気に顔が熱を帯びる。


逃げようにも、亮の両腕に逃げ道は塞がれていて……

諦めたあたしは、少しうつむいて白状する。


「……だって、梓が……“彼女”とか言ってたから、てっきりそうだと思って……」

「……そうだと思って、やきもち妬いてたんだ?」


亮の意地悪な質問責めに、あたしは動揺を隠せなくて……。

それでも、なんとか逃れようと必死になるのに、両サイドの亮の腕がそれを許してくれない。


「……べ、別にやきもちなんかじゃ……。

それに、指令が“巨乳”ってわかったら、もう何とも思ってないし……」


顔を赤くしながら亮を見上げると、亮は困り顔で微笑んで……あたしとの距離を縮めた。

あたしを閉じ込めている腕を曲げて、自分の身体であたしの身体を覆う。

二人の身体が密着する。


「あ、亮?!」


暴れるあたしの耳元で、亮は低く甘い声を注ぐ。


「……俺がでかくしてやるよ」

「……っ」


亮の唇の動きが耳に伝わって……、初めて受ける耳への刺激が、あたしの頭を痺れさせる。


それに気付いた亮は、口許を緩めて、あたしの耳にキスを落とす。