イジワルな恋人



……あたし、嫌だった。

亮が……、他の女の子とくっついているところ、見ていられなかった……。


……男の人が苦手なのに、

亮だけは平気だったり、告白されてからも一緒にいたのは……



あたしも亮が好きだから―――……?



浮かびあがる気持ちに、唇をキュっと結ぶ。


だって、そんなの……。



「……おい」


突然、後ろから聞こえた声に、あたしは身体をすくませて……ゆっくり振り向いた。


「おまえ、さっき俺から逃げなかった?」

「……亮」


すぐ後ろに、ジャージのズボンに手を突っ込んで、あたしを見下ろして立っている亮がいて。


「……ううん」


一瞬合った目を、亮から逸らす。


「……やっぱ逃げてんじゃん」


亮はため息混じりにそう言うと、あたしを閉じ込めるように自販機に両手をついた。


「……っ」


右も左も、亮の両腕に挟まれて身動きが取れなくて……。

あたしは、亮から顔を背けるように横を向いて、二本のペットボトルを抱き締めた。