イジワルな恋人



「……うん。

亮もちゃんと真面目に走んなきゃダメだよ」


高鳴る胸を必死で隠しながら笑顔を作ってから、すぐに亮から目を逸らして走り出した。


……亮が、告白なんかするから。

だからあたしまで意識しちゃってるんだ。


じゃなきゃ……

こんなにドキドキするなんて、ありえないもん……。



亮の揺れる髪の感触が、まだ手に残ってる。


さっき、目の前にしゃがんでいる亮を見てたら、なんか……。


胸がキュウってなって、

“愛しい”って……、


思って―――……。



自分の思考に、顔が真っ赤に染まる。


愛しいって……。


あたし、


亮の事―――……?





自分の中にある想いに、驚きが隠せなかった。