イジワルな恋人



「おまたせ」


奈緒が弁当片手に、屋上に寝転ぶ俺を覗き込んだ。

奈緒の声に目を開けると、明るい空と太陽が飛び込んできて、その眩しさに目を細める。


「今日はハンバーガー作ってきたんだよ。すごくない?」


奈緒は自慢そうに笑うと、きれいに包装までしたハンバーガーを見せてくる。そして5つのうち3つを俺に渡す。


「……こんな食えねぇだろ」


あまりのボリュームに苦笑いがこぼれる。


「だって作りすぎちゃったんだもん。

あ、無理しないでいいよ。残していいからね」


そう言う奈緒の隣で、奈緒の様子を観察していた。



武史から聞いた話が、あのプリクラが、まだ頭の中に残ってる。

……土曜の朝。確か金曜の夜から土曜の明け方までバイトっつってたよな。


もし、話が本当なら、バイトの後会ったってことか、

それとも……バイト自体が嘘で、ずっと賀川と一緒だったのか……?


考えたくもないのに、笑い合う奈緒と賀川のプリクラが頭の中に浮かぶ。


「……きら? ……亮?」


考え込んでいた俺を呼ぶ奈緒の声に、俺はハっとして奈緒を振り返った。


「……わりぃ。……何?」


やっと返事をした俺に、奈緒が少し膨れながら言う。