「……どこでやんの?」
「お、やる気でた? ジャージに着替えて第2グランドだって」
「あっそ」
そっけなく答えた俺に、武史は「冷たい奴だなー」なんて言いながら、次に見つけた話題に目を輝かせる。
「なぁなぁ、亮って一年の水谷 奈緒と付き合ってるんだろ?」
奈緒の名前に少し動揺するも、表情を変えずに答える。
「……ああ」
「かわいいよなぁ、奈緒ちゃん。
……はー、でもやっぱりかぁ……。俺も狙ってたんだけどな」
武史が独り言のような言葉を呟きながら、俺の机に突っ伏す。
そんな武史を目の前に、俺は小さく笑みを零す。
フリとはいえ、自分の女が褒められんのは、悪い気分じゃない。
「あ、奈緒ちゃんと言えばさ……」
突然身体を起こした武史が、再び奈緒の名前を出して話を続ける。
「賀川ちゃんと仲いいの?
確か……土曜の朝だと思うけど、俺が友達と飲んで朝帰りしてる途中に見たんだよね。
奈緒ちゃんが賀川ちゃんの車の助手席に乗ってるとこ」
予想もしなかった武史の言葉に、思わず顔を歪ませる。
……―――賀川の?



