イジワルな恋人



「体育祭、先生のクラスは緑組だね。負けないからね」


真ちゃんの言葉を遮って、わざと茶化すよう言うと、真ちゃんがため息をついた。

だけど、向けれた視線に、真ちゃんがまた何かを言おうとしているのが分かって。


「もう予鈴もなっちゃったしもう行くね」

「奈……っ」


真ちゃんに背中を向けて走り出す。

昔みたいに『奈緒』って呼びかけた真ちゃんに気付いて、胸が痛くなる。

途中立ち止まって振り向くと、心配そうな表情をした真ちゃんはまだあたしを見ていて。

あたしは笑顔で手を振った。




6月の太陽は夕方の5時を過ぎてもまだ沈まずに、街を照らしていた。

そんな夕日を横目に、ティッシュの入ったプラスチック製のカゴを見る。


夕方でもまだこんなに明るかったんだ。

普段バイトで店内にいるから分からなかった。

日焼け止め塗ってないし……。


最悪……。


容赦なく降り注いでいるハズの見えない紫外線が、あたしのイライラに拍車をかけていた。