僕は担当医師の竹中や同僚の佐々木に相談をするつもりだった。しかし竹中医師は兵藤のことを話そうとすると話題を逸らす。佐々木にしても同様だった。 次の日のクリスマス・イブ、二十四日が僕たちの病院内作業療養所の仕事納めであった。あいつは、作業納めの反省会が終わろうとしていた午前十一時三十分過ぎに作業所の入り口から顔を出した。表情が兵藤のものとは違う。昨日の北村と名乗るモノの表情のままだ。遅刻した兵藤?(なのか?)は作業仲間の悪い噂の対象となっていた。作業療法の指導者でもあり兵藤の担当医師の竹中はうん