クレイジーチェリー

あいつの噂は絶えなかった。他の具合の良い作業室で社会復帰に向けてプログラムを受ける患者はあいつの親の噂まで流し、親が韓国人でCIAの職員だとか、親が院長の知り合いなので、別の病院から移ってきただとか、実は患者じゃないだとか色々あった。この形式の病院では噂や妄想は日常茶飯事なので、それほどは気にしていない。そういえば、以前母親と妹が揃って面会に来ていた。二月で早過ぎる桜が咲いていた時だ。狂い咲きの桜を久しぶりに目にした。良い家族に見えた。