クレイジーチェリー

作業机の脇につばを吐く。あたしはあいつを見ていて、何かしら不満げなその顔や出で立ちに興味を持っていた。
初めてあいつと話をしたのは何時だったのだろうか。作業室から急いで身支度をしている彼女を見て声をかけてみた。あたしが「今日何かあるんの?そんなに急いで…」と聞くと、「少し…」とぶっきらぼうに答えた。そのとき微かに笑っているように感じられて、あたしは躊躇いながらも隠れて彼の後を付けた。