クレイジーチェリー

「その言葉まで造ってること自体がオカシイよ…。詩の中で言葉遊びとも取れるとこもあるけど、全体的に何か不気味だよ…。」あたしは、何故か無言で頷いた。言葉だけを取れば妙な説得力があったのだ。しかし会話としては成り立っていない。噛み合わない会話が続く他の看護師3人がクスクス笑った。「姉貴の蛾の話って、あんたにしたっけ。」「うん…。英文を訳した話だよね…。」「ええ…。その詩の中ののワレって言葉が何か引っかかるんやわ。」「何でなん?」「姉貴、蛾が好きやったから。ガて読むんちゃうやろかって思ってね…。」「深読みし過ぎじゃないかな…。悪いけど、この人に才能は無いよ。オカシイ。」あたしは再び同じ理由で頷く。「哲学の才能は?」「ない。もっと言えば芸術的才能も文才もない。この人はオカシイと思う。」