車椅子に乗ると兵藤はすぐに眠った。あらゆる神経をそうとうに使っていて酷使しているのかも知れない。あたしは兵藤の病室の前で兵藤を起こした。104号室だ。104号室までは部屋が3つあった。兵藤の部屋の中では1日中有線放送のクラッシックが流れている。中に入ると兵藤は目を覚ました。別の表情をした兵藤だ。「サイレン・ワッツ?」「そうよ…。」あたしは答えた。サイレン・ワッツはクラッシックの狂想曲である。兵藤は噂と違って本当はとても頭が良いのかも知れない。何となくそんな気がした。
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