他愛ない世間話。

すぐそばにいる結崎さん。


ふと、思う。


結崎さんの彼女はこんな時間がたくさんあるんだなって。


いつも静かに物事を語る結崎さん。

そんな結崎さんの隠れた表情とかを、彼女は何度となく見ているんだろうな。



あたしにとっては貴重な時間。

でも、彼女にとっては当たり前の時間。



今のこの時間、彼女は結崎さんを待っているんじゃないかと思った。

だけど、今日だけは、この数時間をあたしに貸してほしかった。



外で聞こえる、新聞配達のバイクの音。

それが現実に引き戻し、結崎さんは「こんな時間までごめんね」と言って、帰って行った。