「ほんの数秒でも何か話せよ!」

「オレ、結崎さんに嘘までついたのに」



それぞれが言いたい放題の中、諒子が携帯を持って離れる。



「もしもし?結崎さんと代わって!」

「えっ、ちょっと、諒子!」



何をするつもりなのか恐ろしくなり、諒子に駆け寄って携帯を奪おうとするあたしを、三人が止める。



「ちょっと何する気?」

「いや、分からんけど、止めたほうがいいような気がして」



諒子が何をしようとしているのか分かりもしないくせに、三人は力任せにあたしを羽交い絞めにする。



「あ、もしもし?結崎さん?うん、そう。今日、23時まででしょう?柚羽のアパートで送別会するから絶対、来てください!……えっ?本当?ありがとうございますー」