どうしてあたしは強がるんだろう。

うつむきながら笑うあたしを、永輝はそっと抱きしめる。


どんなに強がっても、笑い飛ばしても、この人はあたしの本音をきちんと分かっているのだろうか。



「……なんで、ここに来たの?」

「会いたかったから」

「かんなさんのそばにいてあげなよ」



言わないでおこうとずっと思っていた。

永輝と一緒にいたかったから。

言ってしまったら、もう二度と会えないと思ったから。



「……永輝のやってること、意味分かんないよ」

「柚羽……」

「あたしに会いに来る時間があったら、かんなさんのそばにいればいいじゃない!」



あたしの悲痛な叫びが玄関に響き渡る。