「うわっ!!」 大声を上げた私は、すぐさま、渾身の力でシロを引っ張り、一目散に家に向かって駆けだした。 『脱兎のごとく』とは、正にこのこと。 水たまりなんか避ける余裕はない。 ズボンに泥水を跳ね上げながら、ひたすら駆ける。 息が上がる。