天然店員は俺様王子



「――ブハッ!」

「え!? 何!? 俺どっか変!?」


吹き出すと、焦ったように自分の体を眺める変態の名前が……麗桜!


うららかなサクラ!?


「ぷっ……あははは!!! アンタの名前そんな漢字だったの!? 超似合わない!」


ネームプレートを指差すあたしに、笑顔を絶やさなかった変態の眉がピクリと動いた。


「う、麗らかな桜って……っどこが! 冷酷な悪魔で冷悪にすればっ」

「……っ……」


隣にいた奈々まで軽く吹き出し、奈々は慌てて口を押さえたが時すでに遅し。


ズイッとあたしに顔を近付ける変態は笑顔のままだけど、額には怒りマーク。


「犯すぞテメェ」


ボソッと言った、変態もとい……麗桜。


「ぶふぅっ!!!」


完全にツボに入ったあたしは堪らず俯き、両手で顔を覆う。


「……ヒドいなぁ瑠雨……俺にピッタリな名前でしょ?」

「ぎゃっはっはっ!!! やめろ! 腹よじれる! 死ぬ!!!」


テーブルを叩いて爆笑するあたしの頭上から、ピリピリした空気が降り注ぐ。


「瑠雨?」


呼ばれたあたしは目に涙を溜めたまま見上げると、燃え盛る黒い炎が見えた。


「ご注文は? 何食べますかっ?」


怒りMAXのはずなのに笑顔を絶やさない変態にピンとくる。