すっかり忘れていたこともあって、無性に嬉しい。


こんな上品な香りが似合うかどうかは不安だったけど、夏梅ねぇの優しさがわかるような気がする。



「頑張りなさいよ。幸せは自分で掴み取るもんなんだから」



そう言う夏梅ねぇの顔は、どこか清々しくって。


私も素直に頷くことが出来た。



お兄ちゃんに言われたからと言って、渋々付き合うような人ではないことがわかっている。


もしかしたら色々買ってくれたりしたのも、元気づけるつもりだったのかもしれない。



「ありがとう、夏梅ねぇ」


「どういたしまして。楽しみにしてるからね」



ちょっとお茶目な表情も見せてくれる、とても十も上には思えない。



そんな夏梅ねぇの期待は置いといて「ところで女将さんの息子さんとはどうなったの?」と聞いたとき、タイミング悪くウェイターさんがカモミールティを運んで来て。


あまりにもわかりやすくショックを受けていたので、思わず笑ってしまった。