うんうん、と強く頷きビニール傘越しに空を見つめる。


林の木々から覗く空はどんより重い、通り雨ならもうそろそろ明るくなってもいいのに。



しかし後はどこに行ってみたらいいだろう。



そう思って今度は足元を見ようとしたとき、雀が近くを飛び去って行った。


雨の中、不思議な気持ちになり目で追うと、我が家の方向へと羽ばたいてゆく。



まさか、すれ違いとか?



どうしてそう思ったのかはわからないけれど、鬼虎だって子どもじゃない、あ、いや子どもかもだけど、まあ二十歳なわけで。


ほとぼりが冷めた頃に戻ってきても可笑しくはない。


その場合、玄関の鍵は閉めてきたので、家には入れない……



「一旦帰ってみるか」



そう呟いてから私は来た道を戻ることにした。