貼り付けたような笑顔で、オレ達が礼を言うと、一応満足したらしい。

「それにしてもエコノミーって狭いわね。帰りはファーストクラスにしましょう」

 口では文句を言いながら、上機嫌。
 はどうやら、今回の旅行で一番はしゃいでいたの千沙子だったようだ。

 それにしたって、教員に圧力かけて、同行排除って……。

「金持ちパネェ」

「あら、陣。何か言ったかしら?」

 ニコニコとした表情が逆に怖い。

「いや何も。
 あ、すいません。烏龍茶ください」

 千沙子の言及から逃げるように、ちょうど通りかかったフライトアテンダントに、飲み物を注文する。

 そんなオレ達を乗せて、飛行機は青い空を飛んで行った。