「髪、切ったんだな。ショートも似合ってるじゃん」

 オレがそう言うと、紅葉はえへへ、と笑った。

 絵理がちら、とオレの方を見たが、紅葉が笑っているのを見ると、何も言わずに視線を戻した。

 言いたかった事は何となくわかった。

 青司の部屋の医学書を見たから、髪が短くなったのは本人の意思ではないと解ってはいたが、全く触れないのも変だ。

 だからああいう言い方をした。

 紅葉は笑ってはいるが、以前と比べるとだいぶか細くなっている。
肌も白磁、というよりも青白い。

 それでも、紺瑠璃の瞳には生気が宿っているから、命の灯火が消えそうにはとても見えないのだ。