首里城まではモノレールが通っているものの、そこから次の目的地まで、車で三十分ほどかかる。
 歩いて行くには遠すぎる距離だ。

「さて、困りましたね」

 全く困ったように見えない顔で長船がそう言う傍らで、千沙子は腕時計に目をやり、時間を気にしている。

「いないものは仕方あるまい。とにかく、モノレールで首里城まで行き、後はバスを利用するというのはどうだ? 主要観光地を巡回しているバスが、確かあったように思うのだが」

 どんな状況でも建設的な意見を出そうとするのは、絵理の長所だろう。

「じゃあ、ホテルのフロントに、路線バスの巡回ルート表と、時刻表があるかどうか聞いてくる」

 青司が踵を返してフロントに向かおうとした時だった。
 どこからともなく黒塗りの高級リムジンが一台やってきて、オレ達の目の前に止まった。