千沙子はそのまま戻り、オレも出立の準備をしに部屋に戻った。

 洗面台の水場で千沙子から貰った薬を胃に流し込み、メインルームに入る。

 既に身支度を終え、茶を飲んでいた青司と目が合い、青司が何か言いかけるよりも早く、オレは口を開いた。

「青司。さっきは悪かった」

 先手を取られて驚いたのか、青司は何か言いかけたまま一呼吸間をあけ、言葉を返した。

「こちらこそ。ついかっとなって言い過ぎました。すみません」

 そんなやり取りの横で、長船は甲斐甲斐しくオレの分の茶を用意している。
 通常なら、これで仲直り、めでたしめでたし。
 そうするのが望ましいだろう。

 だけど、オレはどうしても、こいつに言っておきたいことがある。