青司の姿は見えない。

 正直、現在あいつの顔を見たくないので、かえって丁度よかった。
 青司と絵理には聞きたい事が色々あるのだが、それをするにはまず自分の気持ちを落ち着けなければならない。

 眠気覚ましに洗面台の方に行くと、青司と鉢合わせしてしまった。

「おはようございます、会長」

 青司はにこやかに挨拶するが、余裕たっぷりの笑顔は思い切りオレの癇に障った。

「おはよ。つか、終わったならさっさと退いてくれ。邪魔」

 不機嫌丸出しのぶっきらぼうな口調の上、寝起きの凶悪な目つき。
 そんなオレの態度を目の当たりにした青司の顔から、見る間に笑みが消えていく。

 すっと目を細め、射るような視線でオレを睨みつけた。