「草薙先輩、場所確保ありがとうございます。
 飲み物買って来ました」

 聞き覚えのある声。まさかこいつ……。

「長船っ!?」

「何驚いているんですか?」

「声聞くまで誰だか判らなかった……。お前、雰囲気変わりすぎだろ」

 学校での長船は、規定どおりに制服を着込んだ、冴えない黒ぶち眼鏡に黒髪の目立たない生徒なのだが、ゴーグルと髪型一つでこうも雰囲気が変わるものなのか。

「あぁ、目元がゴーグルで隠れてますからね。実はこれ特注で、度が入ってるんですよ。水泳のときは愛用してるんです」

 長船は、てきぱきと買ってきたジュースを氷の入ったクーラーボックスに入れた。

「ところで草薙先輩、他の皆さんはまだ来ていないんですか?」