僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「あーそーぶーぞー!!」

「夢虹うるさい!」


ほんとにな。


バンザイして喜ぶ凪に担任が注意すると、席に戻ろうとしていた凪は頬を膨らます。


「なぁにさ先生。3日間頑張ったあたしに、労いの言葉ひとつも言えないの?」


やれやれと首を振る凪に、担任は答案用紙の端をそろえながら片方の口角を上げた。


「そういうのは赤点取らなかったら言ってやる」

「うーわ、鬼だね先生。残念だけど、あたしクラスの平均点下げるほどバカじゃないよ?」


上げるほど頭よくもねぇけどな。


フフンとなぜか得意げに笑う凪に心の中で突っ込んで、担任はもう無視を決め込んだらしい。


「はいじゃあお疲れ。土日ゆっくり休んで、月曜元気に登校するよーにっ」

「シカト? ねぇ先生それってもしやシカト?」

「土日ハメ外して、夢虹みたいにならないように。解散!」



すっかり緊張感を失った教室のどこからか「凪ドンマーイ」なんて声が聞こえ、クラスメイトは次々と席を立っていく。


試験のたび、あんな凪になるのかと思うと今から憂鬱だな。