そっと扉をおすと、
光が漏れた。



『・・・・・・。』





そこには、息を呑むような景色があった。



空ってこんなに大きかったっけ?と思わせるような広い夕焼け。


一番赤くなる手前のグラデーション。

そこに浮かぶ雲がなんだか羨ましい。


ビルも木も何もかもが光を浴びている。


この温度になら呑まれてもいい、と

思わずぼんやりとしてしまう。



溶けてしまいそうな感覚に身を任せながら、春の風が汗にふきつけてひんやりするのを感じた。




一度目を閉じて、ゆっくりあけ、視線を空から落とした。


その時だった。



(・・・・・・・・あ。)



今まで気付かなかったが、ポツンと、スーツ姿の男が一人、
あぐらをかいて座っている。


(えっやばいっ管理の先生?!)


慌ててドアを閉めようとすると、
その人がくるっとこっちを向いた。





知っている顔だった。






『・・・・・・・・・・・・・高瀬・・先生。』





彼は無言だった。




そして、力のない目には


涙が

たまっていた。





『……せんせ………?』








やっぱりこれは、






開けてはならない
扉の鍵だったんだ。