夢叶様はまだ知らない。 旦那様の限られた時間を。 それを知った時、悲しむ姿が目に浮かんでしまって、泰明様に『知らせない方が…』と助言したのは、自分だった。 しかし、訪れるであろうその日は、着実に近付いてきている。 「いや、これでいいはずだ…。」 呟いた。 今はまだ夢叶様も余裕がない状態だろう。 もう少し後の方がいい。 悲しむ姿など、見たくはなかった。