「ま、いいか。俺もおまえのこと、柚って呼び捨てにしてやるし」 「……なによ、それ」 「そんなことより、なにやってんだよ」 「あ、うん。えっと……」 いきなり、彼女いるの? って聞くなんて……。 あたしの友達が……なんて前置きしたら、相手が真菜だってことバレバレだし……。 「えーっと……」 うまく聞く方法ないかな……。 あたしの視線は奏汰から外れ、周囲のあちこちへと泳ぎ始める。 店のすぐそばにある、あたしが通う学校。 そこであたしの不安定な視線がぴたりと止まった。