【来来軒】の階段から落ちて、生死の淵をさまよっていたあたし。 奇跡的に意識を取り戻したのは、一週間後のことだった。 連絡を受けた真菜は泣きじゃくりながら、やって来て。 「なにやってんのよ、あんたは!」 なんて、涙をボロボロ流しながら怒っていた。 お母さんはそんな光景を、微笑みながら見ていた。 そして―― 「柚、奏汰くんよ」 「……えっ……?」 病室にやって来た奏汰。 あたしは、奏汰が来たことよりも、お母さんが快く迎え入れたことに驚いてしまった。