「おばちゃーん、大将は今日はいないのか?」 「あぁー? いるよー。でも今、ちょっと外に出てるんだよ」 店の奥にある厨房から、チャーハンを炒める音と、おばちゃんの大きな声が聞こえてくる。 「……タイショウ?? おじちゃん、ここって大将がいるの?」 「まぁなー。でも、滅多に表には出てこないぞ」 「へえ!」 この店に通いだして三ヶ月。 この店の主がおばちゃんじゃなくて、大将と呼ばれる存在の人だということを、あたしは初めて知った。 「イイ男だぞー、大将は」 「見たことあるのっ?」