あたしの誕生日の日は、朝からどのチャンネルも、

成人式の話題で持ちきりだったね。


ケーキはガトーショコラ。


プレゼントはブランド物のバッグ。


本当は、隼人が居てくれれば何も要らなかった。


でも、あたしが喜べば隼人も喜んでくれるから。


だから、心の底から笑った。



あたしね?


誰かと鍋なんて食べたの、初めてだったんだ。


囲む食卓がこんなに温かいものだなんて、知らなかった。


それを教えてくれたのは、隼人だよ?



誕生日なんて、全然特別な日じゃなかった。


だってあたしは、“いらない子”だったから。


だけど隼人は、そうじゃないって教えてくれた。



“ちーちゃんは、俺と出会うために生まれてきたんだよ”って。


“だから、俺を幸せにしてよ”って。


言ってくれたから。


生きる意味なんて、ないと思ってた。


今でも思い出すのは、隼人の笑顔ばかりだよ。


今更あたしを一人にしないでよ…。




“幸せにする自信はないけど、その分、人より良い生活させる自信はあるから”


隼人はあたしに、嘘なんてつかなかった。


何一つ、何一つ、嘘なんてない…。


だけど、一番ついちゃいけない嘘をついたんだ。


全部あたしの為だったこと、気付けなくてごめんね…?