『…そうだね、ごめん…。』



だけど隼人は、そんな人じゃないから。


いつもいつも、ムカつくくらいあたしに優しいから。



『…でもさ、好きだから。
どーしよーもなかったんだよ。
自分の気持ち、止められなかった。』


そして、悲しそうに窓の外を見つめた。


『…ちーちゃん、俺と来る気ある?
“それでも良い”って思える?』


「―――ッ!」



そんなの、嫌に決まってんじゃん。


でも、好きだから。



「…っざけんな!
“それでも好きだから付き合え!”って言ってよ…!
あたしに決めさせないでよ…!」


涙が溢れた。


隼人の顔が、歪んで映って。


だけど、見なくても分かる。


きっと隼人は、悲しそうな顔をしているんだ。



『…それは出来ないよ…。
俺は“結婚しよう”とも、“幸せにする”とも言えないから…。
ちーちゃんの人生は、ちーちゃんが決めて?』


そう言って、あたしの涙を拭ってくれた。


その指が熱くて。


また、涙が溢れて。



「…願い…だから…!
今更…突き放さないでよ…!
あたしは…隼人が好きなんだよ…!」


『―――ッ!』


吐き出した後、隼人の顔はやっぱり見れなくて。



『…ありがとな、ちーちゃん…。』


だけど搾り出すように言った告白に、隼人は穏やかに笑ってくれた。


それは、あたしが本当に戻れなくなった瞬間でもあった。