『―――いらっしゃい、マツさん!』


『…つーか、お前誰?』


女の子を見たマツは、眉をしかめた。



『ひっど~い!!
この前入ったルミだよ!!
挨拶したじゃん!!』


『…そーだっけ?』


『マツさん、ママ以外眼中にないってカンジだよね!!
もしかして、彼氏なの??』


ニヤけたルミは、あたしとマツを見比べた。



「え~?ルミちゃん、ありえないから!
あたしの彼氏、もっとカッコいいよ?(笑)」


『うわっ!
この女、マジでムカつくし!』


あたしの言葉に、マツはキレ気味に言ってきて。


だけど瞬間、ルミの目が輝く。



『ママ、やっぱ彼氏居るんだ!!
どんな人?!』


「ん~…。
“自称JIRO似”だってさ!(笑)」


『どこがだよ!
つーか、俺の前では“TERUに似てる!”とか言ってたぞ?
あと、もこみちとかも言ってたし。
あの人、適当過ぎるんだよ!!』


「あははっ!馬鹿だね!」



今は少しだけ、こんな話で笑うことが出来る。


マツの言った通り、本当に働いていると少しだけ気が紛れた。


あたしの中で、隼人は隼人であって、

誰にも代えることは出来ないし、誰にも似ていない。


本当に、この世で隼人以上の男なんて存在しないと思う。




『え~?!それじゃわかんないし!!』


「…わかんなくて良いんだよ。」


膨れっ面のルミに、少しだけ笑いかけた。


あたしの日常は、少しだけ騒がしくなった。