この頃になると、女が居ることはわかっていた。


証拠を掴むなんて、怖くて出来ない。


ただ、どんなに遅くなってもあたしの待つマンションに帰ってきてくれていたから、

あたしは意地を通し続けた。


今更隼人に捨てられるなんて、考えられなかった。


もぉ、離れられない。


あたしが隼人を失ったら、他に何も残らないから―――…





『…ちーちゃん、愛してる…。』


「…あたしも愛してるよ…。」


隼人に押し倒されても、不安が消えることはなかった。


きっともぉ、仕事を辞めれば済むような話じゃないことくらい、

あたしにだってわかるから。


こんな日々は、いつか終わりが来るのだろうか。



♪~♪~♪

「―――ッ!」


あたしの内股に手が入った瞬間、隼人の携帯が鳴った。



『―――ッ!』


「…出なよ。」


ディスプレイを確認し、言葉を失くす隼人を睨み付けた。


目線を泳がせ、何かを隠すように、それをポケットにしまった。



『…や、いいよ。
今は、ちーちゃんの方が大切だから。』


「出ろって言ってんじゃん!!
それとも、出られないの…?」


唇を噛み締めた。


女からだってことくらい、すぐにわかるから。


もぉこんなの、耐えられるはずがない。



『…わかったよ…』


諦めたように隼人は、未だに鳴り続ける携帯を取り出した。