隼人を待つ時間は果てしなく長く、

たったの1分が、何十時間のようにも感じてしまう。


いつまで経っても胸騒ぎは消えなくて、

煙草を吸っていても落ち着くことはなかった。


部屋を真っ暗にし、大音量で音楽をかけて、部屋の隅でうずくまった。


壊れそうなほどに携帯を握り締め、ただ隼人の無事だけを祈り続けた。






♪~♪~♪

着信:隼人


「―――ッ!」


その瞬間、焦って通話ボタンを押した。



―ピッ…

「―――隼人?!
無事なの?!」


『…うん、普通にね。
多分アチラさんは、まだ利用価値はあると踏んだらしい。』


瞬間、聞き間違いなのかと思った。


まさか、そんなのありえない。



「…それって…」


『…心配しなくても良いよ。
金は倍額収めてやったんだ。』



“獅龍会だ!”


脳裏に思い浮かぶ言葉は、これしかなかった。



『…ちーちゃん、何か食いにいかない?
どっか、美味しいトコが良いよな。
考えといてよ。』


「…うん…」



だけどあたしには、何も聞けなかった。


こんな台詞、あたしが易々と口にしちゃいけない気がしたから。


深くため息をつき、部屋の電気をつけるために立ち上がった。


起こっている現実が、何一つ理解出来なくて。


ただ、早く隼人の無事な姿を確認したかった。